予防接種

感染症から身を守る方法のひとつに予防接種があります。
予防接種で感染症に対する抵抗力をつくることで、感染症を防ぐ、あるいは罹っても重症になりにくくすることができます。
予防接種によって個人の健康を守ることが社会の中での感染症の流行を防ぐことにつながります。
感染症によって接種回数やスケジュールが異なりますので、医療機関などに相談し効果的に実施しましょう。

 

予防接種によって防ぐことができる感染症

● 麻しん(はしか)  |  ● 風しん  |  ● 破傷風  |  ● 百日せき  |  ● ジフテリア  |  ● ポリオ
● おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)  |  ● 日本脳炎  |  ● 結核  |  ● 水痘(みずぼうそう)
● インフルエンザ  |  ● A型肝炎  |  ● B型肝炎  |  ● 肺炎球菌

 

 

麻しん(はしか)

麻しんウイルスの飛まつによって感染する感染症です。特に、麻しんウイルスは感染力が強く、同じ部屋にいただけでも感染します。罹った場合には重症になるので、乳幼児では中耳炎、気管支炎、脳炎などの合併症を起こしたり、時には死亡することもある注意が必要な感染症です。毎年、日本でも麻しんで命を落とす子供がいます。予防はワクチン接種以外ありません。

 

定期接種:生後12ヶ月から90ヶ月が対象。1歳の誕生日が過ぎたら15ヶ月までに受けるようにしましょう。

※接種回数が十分でないまま成人し、麻しん患者に接触して罹る事例が時々見られます。社会での麻しん流行を防ぐためにもワクチンの接種回数の確認は必要です。

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風しん

風しんウイルスで起こる感染症で、発しん、リンパ節の腫脹、発熱、関節痛などを主な症状とする病気です。風しんは毎年冬から初夏にかけて流行します。幼児や学童などでは脳炎を合併することもあります。
免疫のない妊婦が妊娠初期に罹ると高い確率で、白内障、心疾患、難聴などの先天性風疹症候群児が生まれます。予防はワクチン接種しかありません。

 

定期接種:生後12~90ヶ月が対象。2~3歳でかかる子供が多いので、3歳までに受けるようにしましょう。

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破傷風

破傷風は傷口から破傷風菌が入って起こる病気です。破傷風菌は多くは土壌の中にいますので、野外での怪我で感染することが多くなります。他にも、古釘や古材など空気に触れないような所にあったものや、動物の口の中に破傷風菌がいることもあるので、それらで傷つけたり、咬まれたところから罹ることもあります。
例え傷口が小さくとも傷の中に菌が入り込んで危険なこともあります。
破傷風菌の出す毒素は神経麻痺、筋肉の痙攣、呼吸筋麻痺も起こし呼吸困難となりますので注意が必要です。発病した場合には死亡率は高くなります。
予防は予防接種が有効です。

 

定期接種:ジフテリア、百日せき、破傷風の混合ワクチン(DPTワクチン)として接種。

接種時期

回数

1期初回

生後3~12ヶ月

3回

1期追加

初回接種後12~18ヶ月

1回

2期

小学校6年生(DT2種混合、トキソイド)

1回

 

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百日せき

百日せきは百日せき菌の飛まつで感染が起こります。普通の風邪のような症状で始まり、つづいて咳がひどくなり呼吸が出来なくなります。
多くの場合、熱は出ませんが、時には肺炎や脳炎などの重篤な合併症を起こし、乳幼児では命を落とす場合もあります。
予防は予防接種が有効で、DPT三種混合ワクチンとして3ヶ月から接種が始まります。

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ジフテリア

国内での発生はほとんど見られませんが、途上国、ロシアなどでは時々流行しています。
罹ると心臓や神経がおかされて、心臓麻痺や神経麻痺を起こすことがあり、危険な感染症の一つです。時には呼吸困難を起こして死にいたる症例もあり、罹った場合の死亡率は10%以上とも言われています。
乳幼児に対する予防はDPT三種混合ワクチン、DT二種混合トキソイドで生後3ヶ月から接種できます。成人の場合には、成人用ジフテリアトキソイドがあります。

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ポリオ

ポリオは小児麻痺とも呼ばれ、ポリオウイルスによって四肢に麻痺を起こす病気です。
日本ではポリオワクチンの高い接種率が維持され患者発生はほとんどありません。
世界的にはWHO(世界保健機関)が中心となってポリオを地球上から根絶するキャンペーンが実施されていますが、今でも患者発生はなくなっていません。
日本では生ワクチンが使われており、生後3ヶ月から90ヶ月の間に6週間以上あけて2回飲むことになっています。
必ず2回服用しないと十分な免疫はできませんので、2回目を受けることも忘れないで下さい。

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おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

おたふくかぜは伝染力の強いムンプスウイルスによって起こる発熱、耳下腺などの腫れを特徴とする病気です。
ウイルスが全身の臓器や神経組織を侵して無菌性髄膜炎、脳炎、難聴、睾丸炎などの合併を起こすこともあり、注意が必要な感染症の一つです。
おたふくかぜは2~9歳までの幼児や学童がよくかかります。感染した場合に合併症などを起こすリスクを考え、1歳を過ぎたら任意接種として受けることをお勧めします。

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日本脳炎

日本脳炎は蚊(コガタアカイエカ)によって媒介されるウイルスによって引きおこされる病気です。通常は蚊が繁殖する夏から秋にかけて流行します。
現在、日本国内では環境が整備され、蚊が繁殖する水溜りなどが減ったために発生は少なくなりました。しかし、南の地域ではまだ注意が必要な感染症の一つです。
発病すると高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。患者の50%に知覚障害、運動障害などの後遺症を残し、約15%は死亡する恐ろしい感染症です。予防にはワクチン接種が必要です。

 

定期接種:

 

接種時期

回数

第1期

生後6~90ヶ月

初回接種

1~4週間隔で2回

追加接種

初回接種から1年後に1回

第2期

9歳~13歳未満

1回

 

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結核

第二次大戦後、食料がなく栄養状態が悪かった時代には、多くの人々が結核に罹り、命を落とすことも少なくありませんでした。その後、国民の栄養状態や生活環境が改善し、抗結核薬剤の開発、ワクチン接種(BCG)も進み、感染者は極端に減りました。
しかし、過去に結核に罹った人の高齢化によって、体力低下とともに結核が再発し、そこから感染が拡がっており、現在でも3万人以上の人が発病し、2,500人近くが死亡しています。今でも注意が必要な感染症です。
特に乳幼児は罹りやすく、しかも予後が悪いので注意は必要です。乳幼児では多くは結核性髄膜炎や粟粒結核になります。
自然感染を防ぐためにはBCGワクチン接種が有効です。0歳児での接種を勧めますが、機会を逃した場合には4歳までにツベルクリン検査を実施し、陰性の場合にはBCGワクチンを受けましょう。

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水痘(みずぼうそう)

水痘は伝染力の強い水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる感染症です。通常では大人になるまでに自然に感染します。
特に白血病児、悪性腫瘍児、ネフローゼ患者児などでステロイドを使っている小児では重篤になり危険です。時には感染しないまま成人する人もいます。
成人で罹ると、重篤になる傾向があります。また、妊婦が罹ると流産や妊娠後期では新新生児死亡も起こります。
通常は5歳までには80%以上の子供が感染すると言われていますが、社会の中には免疫上問題のある人もいるので、できるだけ流行させないようにすることが重要です。
そのためには任意接種ですが、1歳を過ぎたら予防接種を受けることをお勧めします。

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インフルエンザ

インフルエンザは非常に伝染力の強い感染症で、時には世界的な大流行を起こすこともあり注意が必要な感染症です。
38度以上の発熱、頭痛、筋肉痛、関節痛など全身症状が強く、高齢者では肺炎、小児などでは脳症を起こして死亡することもあります。
インフルエンザワクチンは感染を完全に防ぐことはできませんが重症にならずに済むので、特に乳幼児や学童、高齢者、慢性疾患を患っている人は忘れずに受けましょう。
ワクチンは最寄りの医療機関で受けられます。流行する前に1回ないしは2回の接種を受けるのが通常ですが、1~4週間あけて2回目の接種を受けることをお勧めします。

 

なぜ毎年接種するのでしょうか?
インフルエンザは毎年違う型のウイルスが原因となります。WHO(世界保健機関)が、その年に流行するウイルスの可能性を検討してワクチンを作るので、私たちは毎年受ける必要があるのです。

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A型肝炎

A型肝炎ウイルスに汚染された水、食べ物などで発症します。多くは海産物ですが、途上国などでは注意が必要な感染症のひとつです。
小児の場合、多くは不顕性感染(感染しているけれども、症状が出ないこと)で終わることが多く、成人ではほとんどの例で発症します。
症状は38度以上の発熱で発症し、全身倦怠感、下痢、黄疸などが表れます。治癒するまでには1~2ヶ月くらいかかることもあります。まれに劇症型の肝炎を起こすこともあるので、途上国に行かれる方は渡航前の接種をお勧めします。

 

接種スケジュール:

初回

2回目

初回から2~4週間あけて

有効期間 2年

3回目

初回から6ヶ月あと

有効期間25年

 

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B型肝炎

B型肝炎ウイルスに感染して発生する肝臓の病気です。ウイルスに汚染された血液などを介して感染しますが、性交渉などでも感染するので注意が必要な感染症です。
感染した場合でも、発症せずにウイルスを持つキャリア(保有者)として感染力を持つこともあり、その場合には、将来、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんなどになる可能性もあります。
また、キャリアの母親から生まれた子供はキャリアになる確率が高いことから、ワクチン接種は大切になります。B型肝炎ウイルス抗原陽性の母親から生まれた新生児では保険でワクチン接種が可能です。
医療従事者、救急隊員、検査センター職員など、血液に接する可能性の高い人々やそれらの職業についている人の家族、ウイルスキャリアの家族は任意接種ですが受けることをお勧めします。

 

接種スケジュール:

初回

2回目

初回から2~4週間あけて

3回目

初回から6ヶ月あと

有効期間:3回目の接種後4~5年間

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肺炎球菌

○ 小児の場合

肺炎球菌が原因になって引き起こされる感染症には、肺炎、髄膜炎、敗血症、気管支炎などがありますが、乳幼児の場合、特に肺炎や髄膜炎では重篤になり、命に関わることもあります。7価の肺炎球菌ワクチンを受けることによって乳幼児の髄膜炎、肺炎をふせぐことができるので小児には勧めます。喘息などのある場合や心臓に疾患のある小児では特に必要でしょう。

 

○ 高齢者の場合

高齢者では生活習慣病を持つ人が多く、感染症に罹りやすくなっています。特に糖尿病や気管支喘息などの持病を持つ人やケガや病気で脾臓を摘出した人の場合では、インフルエンザなどの呼吸器系疾患にかかると肺炎になりやすいので、60歳以上で23価肺炎球菌ワクチンを受けることを勧めます。