マイコプラズマ肺炎の流行が止まりません。
新型コロナ感染症の流行時には激減していましたが、今年は6月頃から増え始め、過去最多の感染者数に達しています。マイコプラズマ肺炎は「肺炎マイコプラズマ」と言う細菌に感染して発症する呼吸器感染症です。
多くは小児や若い人の間で流行します。感染者の80%が14歳以下の子供です。時には成人の報告も見られます。今年の流行では、成人での流行が例年以上に多く見られているのが特徴です。
マイコプラズマ肺炎は1年を通じて見られますが、特に秋・冬に患者が増加する傾向があります。また、この感染症はほぼ4年に1回の周期で大きな流行が見られることから、「オリンピック肺炎」とも呼ばれていました。
感染すると2~3週間の潜伏期を経て、発熱、倦怠感、頭痛などで始まり、次いで咳が出ます。咳は長期にわたって続くのが特徴です。
小児では一般に軽症で済むことが多いようですが、一部では肺炎となり重症化することもあります。まれに、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などを合併することもあります。
感染経路は、感染した人の咳のしぶきを吸い込むことによる『飛沫感染』、感染者との接触による『接触感染』が主です。
保育園、幼稚園、学校などでの感染拡大は見られていますが、短時間の曝露での感染の可能性は高くありません。つまり、濃厚接触での感染拡大が多いと考えられます。
石鹸での十分な手洗いや、家族内に感染者がいる場合にはタオルの共用を避けましょう。咳が出る場合にはマスクも有効です。
多くの人は軽症で済みますが、重症化した場合には入院も必要になります。咳が長引く場合には、是非とも医療機関で診察を受け、適切な医療を受けてください。マイコプラズマ肺炎は、マクロライド系の薬剤が有効です。
世界的にも、多くの地域でマイコプラズマ肺炎の増加が報告されています。2023年には中国や欧米で秋頃から大きな流行が報告されています。