麻しんウイルスによって引き起こされる麻しんは発熱や咳、鼻水などの風邪のような症状と発疹で始まります。
感染経路は空気感染、飛沫感染、接触感染で、感染力は非常に強く、免疫を持っていない人が感染した場合には、ほぼ発症すると言われています。
しかも感染力の強さだけでなく、感染後の合併症の可能性などを考えると、新型コロナウイルス感染症よりもはるかに警戒すべき感染症であると言えます。
初期症状は①発熱、②全身性発疹、③咳、鼻水、目の充血などの粘膜症状です。
感染すると、約10日~12日の潜伏期を経て38度程度の発熱が2~4日続き、時には39度を超える発熱も現れ、同時に発疹が出ます。その時には、ほほの粘膜に白色のコプリック斑も現れることもあります。
麻しんに罹患すると免疫力が低下し、肺炎、中耳炎、脳炎などを合併することもあります。合併症の中で最も多いのは肺炎です。頻度は多くありませんが、脳炎を合併することもあります。特に乳幼児の死亡例では脳炎の合併が見られます。
ごく稀ですが、麻しんに罹ってから7年~10年後に、進行性の知能障害、運動障害を引き起こす「亜急性硬化性全脳炎」(SSPE)を発症することもあります。
治療は症状を軽くする対症療法や合併症の治療が主となります。
麻しんの有効な予防法はワクチン接種です。
日本では定期接種として全ての子供がワクチン接種を受けることになっています。
世界には、今も日常的に麻しんが流行している国はあります。
日本人がそれらの国へ旅行したり、それらの国から人々が旅行客として来日したりすることもあるでしょう。旅先で感染者と接触・罹患して帰国したり、訪日する旅行客と共に日本に持ち込まれたりしています。
国内で感染が拡大することを防ぐには、日本の人々が麻しんワクチンをしっかり受けて、免疫を持つことが必要です。
皆さんも、麻しんワクチンの接種記録を点検し、二回受けてない場合には追加のワクチンを受けましょう。