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新年のご挨拶と、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎について

明けましておめでとうございます。


本来なら、長いコロナ流行のうっとうしい時期を脱して迎えた新しい年、日本中の人々の心の中は、新年への大きな期待で一杯だったでしょう。

そんなのどかな元日の空気は、夕方の地震警報で一変してしまいました。

能登地方で発生した大きな地震、その後もしつこく続く余震。多くの地域では家屋が倒壊し、崖は崩れ、道路の損壊で救援の交通も遮断され、未だに多くの人が、倒壊した家屋の下や、崖から崩れた土砂の中で助けを待っているし、それらの人々への必要なものは届いていません。まだまだ、この震災の全貌はつかめていません。

東日本大震災の経験者である私は、13年近くが経っていても、当時の恐怖は鮮明によみがえります。特に、大きな地震の揺れが一旦収まった時の静寂は、今も忘れられません。
遠い地域での被災状況や救援状況を見守りながら、その時の事を思い出しています。

現在発生している感染症について

昨年の初頭から続いていたインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症は、依然として感染者の発生が持続しています。

春以降は、子供達の間ではアデノウイルス感染症(プール熱)、RSウイルス感染症も感染者の発生が続いていましたが、さらに、秋口に入ってからはA群溶血性レンサ球菌の流行も見られるようになってきました。

私のブログでは今まで新型コロナウイルス感染症やインフルエンザについて触れてきましたので、今回はA群溶血性レンサ球菌咽頭炎について、どんな感染症なのか書くことにします。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

この感染症は溶血性レンサ球菌と言う細菌によって引き起こされる疾患です。
以前は、猩紅熱(しょうこうねつ)とも言われていました。

多くの場合子供がかかりやすい病気ですが、時には大人も感染することがあります。

症状は発熱、頭痛、首のリンパ腺の腫脹、強いのどの痛みなどの咽頭炎や扁桃炎を起こします。時には赤い小発疹などを伴うこともあります。
また、まれに中耳炎を併発することもあります。

舌に赤いツブツブができ、イチゴ舌とよばれる状態になることもあります。
重症例では扁桃に膿(白い膿栓)が付着することがあります。

溶血性レンサ球菌感染症は、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こすこともあるので、注意が必要な感染症です。

しかし、川崎病やアデノウイルス感染症、EBウイルス感染症でも同じように扁桃が腫れることがあり、溶血性レンサ球菌感染症かどうかの迅速な鑑別は難しいです。

診断

血液検査では、ASO値が診断に役立ちます。
ASO値が高値になり、成人ではその値が250単位以上、小児では333単位以上で溶血性レンサ球菌感染症と診断されます。

ASOとは、抗ストレプトリジンーOと言い、溶血性レンサ球菌に感染すると血液中に出現する抗体です。

溶血性レンサ球菌感染症では、腎炎(急性糸球体腎炎)を起こすこともあるので、むくみや血尿、尿量の減少などが見られないか、注意をする必要があります。

治療

治療は、小児科、耳鼻咽喉科を受診し、抗生物質での治療となります。
この感染症では、熱が下がり、のどの痛みが消えたからと言って、医師の指示なしに服薬を止めたりすると、腎炎などの合併症を引き起こすこともあるので、処方された抗生物質は10日間程度続けるのが望ましいです。

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