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現地レポートエボラ出血熱 ウガンダ・グル地区でのアウトブレーク
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11月3日

朝、病院へ行くと、ルテナントのベッドには、白いプラスチックの袋が置かれていました。昨夜、亡くなったことを病棟の主任から聞き、胸が詰まる思いがしました。私は彼の納められた白いバッグの横で立ち止まり、手を合わせました。目を閉じると、目をくりくりさせながら、荒い息で「頑張る」と言っていた彼の顔が浮かんできました。

隣の部屋では床のマットレスにお婆ちゃんが横たわっていました。頬はこけ明らかな脱水状態で、頭蓋骨の上に一枚の皮を被ったようなその姿は、教科書で見たコレラ患者のそれと全く同じでした。エボラ出血熱でもコレラ同様に水様便の下痢をします。そのため患者は脱水症状を強めていくのでした。

チョコレート色の皮膚の横たわったおばあちゃんのうつろな目が、余りに悲しく、私は思わず目をそらさずにはおれませんでした。そして、彼女は、まもなく眠るように息を引き取りました。

そのタイミングを待っていたように、CDCから来ていた医師のダンが遺体に歩み寄り、表情も変えず彼女の手を胸に置き、毛布を頭まで被せて部屋を出て行きました。

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