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現地レポートエボラ出血熱 ウガンダ・グル地区でのアウトブレーク
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10月30日

カンパラでWHOの支部を訪問したりした後、私たちはいよいよエボラ出血熱流行地、グルに向かうことになりました。ウガンダとスーダン国境周辺では部族闘争が時々起っており、またスーダンの難民が多くウガンダに入り込んでいたことから治安はきわめて悪く、陸路での移動は断念せざるを得ませんでした。結局、WHOがチャーターした小型飛行機で、WHOやウガンダの職員、日本から運んだダンボール箱と一緒に、流行地のグルに向かいました。

エンテベから一時間近く飛んだ頃、サバンナの中に点在するマッシュルーム型の家が目に付き始めました。その家々はいくつかが円陣を組むように並んでいました。同乗していた現地の人が、ウガンダの人々の生活について話してくれました。この地域では、人々は大家族制を形成し、互いに助け合って生きていることや、特に霊を信じるアフリカの人々の間では、葬儀は大切な行事であり、人が亡くなった後、死者の霊を弔うために、死者の体を拭いたり、洗ったり、撫でたりして、お別れをすることも話してくれました。このアフリカの人々の習慣が感染拡大に大きな役割をもたらしたと、彼はしみじみと話してくれました。

草原の中の小さなグル飛行場に降り立ったのは、午後の3時を過ぎていました。

その夜は、WHOで患者医療を担当している医師サイモンから、病院での医療体制、感染防御策などを具体的にレクチャーされました3)。

サイモンはここで、臨床での感染管理を担当していました。特に院内感染による患者発生が多いことから、院内感染対策のためのバリアーナーシング確立を優先させようと、院内のスタッフへの指導に力を注いでいました。

私たちの宿泊するアチョリ・インは、この町ではもっとも良いホテルでした。ただ、道路からは崩れかけた壁しか見えず、最初は不安でした。しかし、塀の奥に進むと一棟隠れるように部屋が並んでおり、設備もシャワーのお湯もでるし、部屋には蚊帳も付いているし、そう悪いものではないように見えました。ところが、実際には、停電はするし、お湯も出ないことが多いことが時間とともに明らかになりました。途上国での生活経験のある私は、そう期待もしていなかったので、気にはなりませんでした。

ウガンダ政府は私たちの安全確保のため、軍の兵士をホテルに常駐させて巡視を行ってくれました。

夕食後、ホテルの食堂から暗闇の中を部屋に戻る時に、自動小銃を手に立っている黒人の若い兵士が見え、最初は不気味でしたが、それもすぐに馴れ、挨拶を交わすようになりました。

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